顧客視点を忘れずに:新製品・新サービス開発で陥りがちな4つの落とし穴

新製品や新サービス開発を成功させるには顧客視点が欠かせません。しかし、多くの企業がこの視点を見失い、自分たちの都合を優先したり、思い込みに引きずられてしまったりすることがあります。この記事では、新製品や新サービス開発のマーケティングにおいて顧客視点を取り入れることの重要性を再認識していただくために、顧客視点に立つことができない原因とその具体例、そしてこれらのケースに陥りがちな人を紹介します。

原因1 そもそも顧客視点で考える意識が欠如している

新製品や新サービス開発の担当者の中にはお客様視点で考える意識の弱い方がいます。

具体例

ある企業が地方の駅やショッピングモールの小さなスペースで、東京の人気スイーツを販売しようとしました。しかし、赤字リスクを避けるために「物流の問題で生菓子はNG」「在庫リスクを避けるために少数の発注でも納品してもらえる商品であること」など厳しい制約を設けてしまい、販売できる商品がかなり限定されてしまいました。結果として開店初月こそ目標売上を達成できていましたが、代わり映えしない商品構成により次第にお客さんに飽きられ、その後売り上げ低迷が続いてしまいました。

陥りやすい人

乗合バス事業など同じマーケットで同業者とお客を奪い合う機会が少ない業種の方が新規事業に乗り出すと顧客視点が弱いことがあります。こういった企業が新規ビジネスを始める際には、外部のアドバイザーなどをプロジェクトに加え、客観的な視点を取り入れることが重要です。

原因2 自分たちのアイデアを正当化する

自分たちの考えたアイデアを無意識に正当化してしまうことで、お客様の本当のニーズを見失うことがあります。

具体例

ある企業の新サービスの立ち上げで、サービスの企画担当者が自身の提案に対して社長承認を得るためにインターネット上の情報や顧客の声から都合の良い部分だけを抜き出し、顧客ニーズを仮説してしまいました。結果として、真のニーズを反映していないサービスが誕生し失敗に終わりました。

陥りやすい人

色々な製品やサービスを思いつくアイデアマンが主導する新規事業開発、社長から「AIを活用した新ビジネスを立ち上げて欲しい」など手段を指定された形での新規事業開発が特に危険です。これらは大抵、製品やサービスありきで後付けでニーズを見つけようとするので、この問題に陥りがちです。

原因3 顧客が明確になっていない

ペルソナが漠然としていると、そのニーズを正確に捉えることができません。

具体例

ある会社では自社の新サービスのユーザーとして「20代~30代の都市部に住む未婚の女性」というペルソナを設定したものの「ヘルシーで健康的な食べ物を食べたい」など漠然としたニーズしか出てこず、結果として競合他社との差別化が難しいサービスが完成してしまいました。

一見ターゲットを絞っているように見えますが「20代~30代の都市部に住む未婚の女性」は沢山います。ターゲットとなるユーザーが普段どんな悩みを抱えているのか、そのユーザーはどんなことを考えているのか、何に興味を持っているのか、ユーザーの思考プロセスを想像出来ない状態はまだユーザーの人物像の解像度が低いです。人となりがイメージできるくらい人物像を具体化する必要があります。

陥りやすい人

顧客を絞り込むことを機会損失と考えている人は、この問題に陥りやすいです。ターゲットを広げすぎると、結局誰にも刺さらない製品やサービスになってしまうことを認識しましょう。

原因4 御用聞きになってしまう

必ずしもお客様の声=ニーズではありません。

具体例

マーケティングのケーススタディーでも良く取り上げられる事例に「サラダマック」があります。

マクドナルドが実施したアンケートやインタビュー調査で「ヘルシーなメニューが少ないので導入してほしい」「サラダを入れてほしい」といった声が多かったので、 2006年に「サラダマック」シリーズと銘打ってトマトグリルチキンサンド、サラダディッシュを発売したが売り上げが低迷してすぐに販売終了になってしまいました。

陥りやすい人

普段から深く考えずに周りの人やメディアのいう事を鵜呑みにしてしまう癖のある人は危険です。マクドナルドで「サラダが食べたい」という声があった時に、「なぜマクドナルドでサラダを食べたいのか?(ヘルシーな料理がウリの他のレストランに行かないのか?)」など掘り下げると、「実はマクドナルドでなくても良かった」「ビッグマックといったマクドナルドらしい味や食べ応えを維持しつつもカロリーを抑えたハンバーガーが求められていた」など違った解が出ていたのではないかと思います。

まとめ

顧客視点を持たずに新製品やサービスの開発を進めると、思わぬ失敗に繋がることがあります。この記事で紹介した4つの原因とその具体例を参考に、自分たちが本当に顧客視点で考えているかどうか、ぜひ振り返ってみてください。成功するビジネスは、常に顧客の本質的なニーズを捉え、それに応えることから生まれます。